魅惑のハニーリップ
「相談って……なにかあった?」

 私が用意したアイスティーをひと口含んでから、宇田さんが静かに口を開いた。
 それは面倒くさそうでも何でもない表情で、私をやさしく包んでくれる。

「あ、あの……私、会社を辞めるかもしれません」

「えっ!?」

 私が爆弾を投下すると、宇田さんがすぐに驚いた表情に変わる。
 それはそうだ。今までそんな前触れなんてなかったわけだから。

「突然どうした? 会社でなにか嫌なことでもあった?」

「え?」

「だって……辞めるだなんて、なにかないと考えないから」

 宇田さんは私のほうに向き直って、真剣な表情で見つめる。
 そうされると、この先が少し言いにくかったりするのだけれど……

 でも言わなきゃ。

 宇田さんの意見を聞きたい。

 宇田さんがどう思うのかを聞きたい。

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