魅惑のハニーリップ
 宇田さんは私よりも八歳年上で大人だから。
 こういう時は、しっかりとしたアドバイスをくれる。
 きっと自分の経験を交えながら……

「でも……転職したら、お休みとか勤務時間とか不規則になっちゃうと思うので……」

「え?」

「宇田さんと一緒にいられる時間も、今以上に減っちゃいます」

 私の中で、恐れていることは……
 宇田さんと時間が合わなくて、すれ違いになることだ。
 そんな関係に疲れて、私と付き合えないと彼が結論付けること。

 ほかの女の子とのほうがたくさん接点があって、私なんて霞んで見えてくるかもしれない。

 宇田さんが ――― 心変わりすることを私は恐れている。


< 134 / 166 >

この作品をシェア

pagetop