魅惑のハニーリップ
 よく考えてみれば、あの宇田さんがモテないわけがない。
 顔だってイケメンだし、体型だって筋肉質でとても引き締まってる。
 三十代なのに、全然オジサンくさく感じない。

 もしかしてこの子たちって………

「そりゃあ、いるでしょ。すごくかわいい女性みたいだよ」

 私の目の前でニヤニヤしながら優子がそんなことを言うから、反対に私は顔に出さないようにするだけで精一杯だ。

 絶対に優子はこの状況を楽しんでいるに違いない。
 私は変な汗が出そうなのに。

「やっぱりそうなんですかぁ」

 宇田さんに彼女がいると優子から聞き、ふたりはなんとなくトーンダウンしてしまった。

「もしかして宇田さんのこと狙ってたの?」

 趣味悪く微笑みながらも、優子はまた大きな口を開けてお箸でご飯を放り込む。
 よくそんなに自然体で話していられるものだ。
 ある意味尊敬しちゃう。
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