こっち向けよ
少し離れても体の熱は冷めない。
左頬に感じる舞の手の温もりは優しく、じっと顔を覗き込まれているのに舞の目を見られない。
舞の前でこんな醜い感情を抱いてしまった上に顔に出してしまうとは、今までで1番の失態だ。
「私ね、時任くんと結婚しなくちゃいけないんだって。絶対なんだって。」
知ってる。
「パパもママも頑張ってくれたけど無理だった。」
そうか。
「しかも、私・・・ッッ、私、時任くんと・・・」
不意に舞を、自分の瞳に閉じ込めた。
「舞」
「なに」
「結婚しよう。」
「ッッ!愁は、それで良いの?」
「うん、なんだってするから、絶対に結婚しよう。」
「・・・私も、そうしたいけど・・・」
家族を案じている舞は、どんなときも優しい。
けど、
「今は全部忘れて。」
「え、んッ!」
限界来てんだよ、まずはこっちが。