ぐうたらはらっぱ

島田と成田


「?どうした少年よ」
「なんでもないですぅ!」

俺は手首に装着してある電波腕時計を見る。
…本当に、10分きっかりに起きやがった。
何者だ。

すると成田さんは んーっ と言って伸びをしつつ立った。そして、

「少年は」

一呼吸置き。

「まだサボる?」

と、にへらっと笑い、俺を見やった。

その瞬間、なにかがすとん。
この子のことが、とても単純に知りたい。

俺がぽかんとしていると、成田さんが口を開いた。

「ねえ、少年の名前は?」

唐突だなあ。
まださっきの質問にすら俺は答えていないというのに。
それでも名前を聞かれるのだから、答える義務がある。

「島田純平…」
「純ちゃんか!」

と、初対面でこの様だ。

「よろしくね純ちゃん〜」
などと、もう実にヘラヘラという単語が似合うほどヘラヘラした笑みを浮かべ、ヘラヘラと手を振っている。

うーん、成田さんには悩みというものがなさそうだなあ。

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