恋愛のやり直し方
綾、早く帰ってこいよ。



お前に会う前に捕まっちまうよ。






2杯めのコーヒーを飲み終えた時、再び携帯が鳴る。




『森嶋綾』



液晶に映し出されたその名前を見ただけでドキンとする。



俺、乙女か。







「もしもし」と何でもない声で出る。

ちっ。ちょっと震えちゃったじゃん。





『先生今どこですか?みんな探してますよ?』



第一声がそれ。
待っていた綾の声だけど。



それかよ。





勝手に期待してる俺が悪いんだけど。
思わずフーッとため息が出た。







「森嶋さんにまで連絡いったの?」





ヤバイ。
刺々しい言い方になった。


でも、綾は全然きにしてない様子で、いたって冷静だった。
その対応が、『いけませんっ』って怒られてる子どもの心境になる。





『なんかパニクってるみたいですよ?電話だけでもいれません?』





パニクる?
そんなわけないだろ?



竜、綾を味方につけるために演じやがったな。






「あぁ……」

< 499 / 548 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop