恋愛のやり直し方
数あるジュエリーの中から1つに目が合うと止まった。



それは、派手ではないけれど燐とした輝きを持つ真っ赤な石。


「あら、いいとこに目がいくものね。それ、ガーネットって石なのよ。『秘めたる情熱』って意味のある石なのよ」





『秘めたる情熱』か。

俺が綾に対してもった第一印象だった。




「これにするよ」



「ありがとうございます。プレゼント包装でしょ?待ってて」



席を立とうとする斎藤を制する。


「いや、そのままでいい」





一瞬はっ?と言った顔をした斎藤も俺の意図を汲んだのかニヤリと笑った。



「まぁ。イヤらしい。分かったわよ。箱にだけ入れてくるわ」




「悪いね」



フフンと、意味ありげに笑って席をたって行った





少し冷めた紅茶を啜りながら、頭の中は綾のことでいっぱいだ。



鳴る気配のない携帯に目がいったのにハッと気がついて、自分でも恥ずかしくなる。


乙女か…俺は。




こんなとこ、斎藤に見られなくて良かったと、心底安心する。
< 505 / 548 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop