不思議な“キツネ”ちゃん

「まずは、俺らの部屋に招待するよ」

矢島隆は私に手のひらを向けた。

「ようこそ、瀬峰工業高校へ」

皆が矢島の手のひら、いや私の行動を
じっと見つめているのがわかる。

私がこの手をとることは藤咲を
裏切るということにもなる。


確かに藤咲はいい学校だ。

楽だし面倒ではない。

その上私はその学校の支配者でもある。



でも私の目的はただひとつ。

彼女、鹿野朱里に思い知らせること。


だから裏切るのは怖くない。

それに藤咲だって私には逆らえない。

学園には大金を寄付してる。

生徒には恐怖で支配してる。



結局、私は死ぬのだから何も失うことはないし恐れてることもない。



「よろしく」


だから私は矢島隆の手をとった。

後悔はしてないし、
これからもしない。

< 144 / 163 >

この作品をシェア

pagetop