不思議な“キツネ”ちゃん

スーパーにはあまり人がいなかった。

「あ」

だからかな。
スーパーのカゴを持っている啄くんが
すごく目立ってるんだけど。

てか、これほどスーパーが似合わない人いるんだ。

「ほら。さっさと買えよ」

思わず止まっていた私をギロリと
睨む啄くんは顔面凶器だ。

イケメンだからなのか、
睨むと般若よりも恐怖を感じる。

「っはい!」

早足で油を探して手に取る。

入り口付近で待っている啄くんのもとへ
戻ると。

啄くんがじっとあるものを見ていた。


「啄、くん?」

声を掛けると素早くあるものから目を離す。

「それ、ほしいの?」

「…ほら行くぞ」

無理やり腕を引っ張る啄くんの耳は
赤く染まっていて。

不覚にも可愛いと思ってしまった。

「ちょっと待って。あれほしいの?」

彼があれを欲しがるのは少し、いやかなり意外だ。

「…っだったらなんだよ」

また睨まれるが顔が真っ赤なせいで
威力半減して怖くない。

「ふふ。お礼に奢るわ」

冷たい冷気を纏っている機械を開ける。

流れてくる冷気を肌に感じながら、
紙パックを手に取る。

紙パックの表紙には小さい子がよく見るアンバンでできてるヒーロー。

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