不思議な“キツネ”ちゃん


「久しぶりね、京」


風に乗ってラベンダーの、

京の薫りが香る。


「会いたくて、来ちゃった」

私が話始めると必ず微笑んでくれた京。

「、、、、、京、」

今でも覚えてる京の仕草やクセ。

「会いたくてたまらないよ」

涙で霞んで見える京の眠っている場所。

それすらも怖くて。

京が消えていくみたいで。


恐い。


「私ね友達が、できたの」

思い出すのは学校の屋上にいつもいる人達。

「暴走族みたいなグループ、なんだって」

こないだ、教えてくれた。

「でもね、優しいんだよ」

仲間思いの彼ら。

「こんな私にも」

仲間ではないはずの私にも。

「あとね、女の子の友達もいるんだよ」

キツネの仮面を被っている、彼女。

「びっくりでしょ?
私に女の子の友達ができるなんて。


京は心配していたけど。

私にも女の子の友達が出来たんだよ。」


いつも友達が出来なくて心配していた、京。

私はそれでもよかった。

京がいるだけで充分だったから。

「だからさ、」

京が心配していたことは直すから。

京に心配なんてさせないようにするから。

「会いに来てよ、京」



逝ってしまってから1度も。


京は私の夢にも出てきてくれない。

京のお父さんとお母さんには現れたくせに。




「、、っ京、会いたい、、、」


私には1度も会いに来てくれない。


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