小さな恋のうた

想い逢うからこそ

朝の爽やかな光が愛裕の部屋を照らす。
それにつられるように、だんだん愛裕も覚醒していった。

「…ん…今……5時だ…」

まだ完全に覚醒をしてない頭で時計を見て呟く。いつもより、起きるのが早い。
ふとゴミ箱を見ると…無造作に切られた髪が捨ててあった。

「…夢じゃなかったんだ…」

じわりと涙が浮かぶ。
それに気付き慌てて涙を拭いた。
それでも、消えないこの感情。
今まで、こんなことあっただろうか?
あの人の時は悲しかったけど、ここまで感情が引っ張ってこなかった。

「………とても、懐かしい夢を見た…」

この家に雇われる少し前。
あの人…息吹さんに告白した時の夢を。
『私…息吹さんのことがずっと…好きでした!!』
息吹さんにアルバイト先から家に送られる時に告白をした。李家にいけばもう会えるときもあまりないって知ったから。
だから、せめて伝えたくて……
『ごめんね。…愛裕ちゃんの俺に対しての“好き”は本当の“好き“じゃないんだよ……』
息吹さんは悲しそうな顔をしてそう言った。そんな悲しい顔をさせたくなかった。何かを我慢しているような表情をさせるために言ったんじゃない。
息吹さんはそのまま立ち去った。
私はそのまま『息吹さん…』って言いながら泣いていた。

「でも…夢の中で誰かがその涙を拭いてくれた気がする…」

とても、暖かかった。
愛裕は静かに瞳を閉じて言った。

「息吹さんのおかげで本当に好きな人を見つけられたよ……でもっ…」

一雫の涙が零れた。
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