愛の言葉は囁かない



「お前うぜーんだよー」



学校から1人で帰ってたとき、私は数人の男の子に公園にひっぱられ、囲まれた。


みんな、知ってる顔だった。




「裕貴を縛りつけてんじゃねーよっ」



この人たちは、ゆう兄ちゃんのお友だちだ…。



何でもできて、性格もいい。


そんなゆう兄ちゃんは、人気者だった。


そんなゆう兄ちゃんが、私の自慢だった。


そんなゆう兄ちゃんが、隣にいることが嬉しかった。



だけど、他の人だってゆう兄ちゃんと遊びたいんだ。


だからゆう兄ちゃんをとっちゃう私は、邪魔だった。




自分よりも全然大きい男の子たち。




怖かった。怖くて怖くて…



だけど




「……て、…もん」


「あ?」



「しばりつけて、ないもん…」




震える声で、言い返した。




本当はわかってたけど。




そう、思いたかったから。



< 8 / 52 >

この作品をシェア

pagetop