sound village
『リヒト…随分、慣れてるのね。』
なんか…初めて来たと
思えないほど施設馴れしてる。
『ん?レディファースト?
それともエスコート?
こんなの向こうじゃ当たり前』
いや…主語を欠いた私が
悪いのだが…
…エスコート…っつうか…
階段を手を引いて登る姿は
介護に見えないだろうか(泣)
『ほら、やっぱあった。観覧席
すげぇ…コート3面あるね。
レン、あそこ座って見ようよ。
全面みえるよ。きっと。』
『うん。』
階下から聞こえるアップの声に
なんだかドキドキする。
10色に色分けされたゼッケンを
Tシャツの上から被った
男の子達…まあ…学生から見りゃ
十二分なオッサンだろうが…
広いコートをならんで走り
ドリブルからシュートを
打ったり
パス回しを確認しあったり
見てるとなんか
『…胸がかきむしられる
っていうか…ギュッってなる
っていうか…』
心臓のあたりを
カットソーの上から掴む。
『どれどれ?』