sound village



どうやら、河川沿いの遊歩道へ
進路を取りたいらしく、
こっちだよって言って
急な階段をピンヒールで
下りだす。

どこにいくつもりかと
勘繰りながら俺たちも、
並んで歩きだす。


舗装されていない足場と
最近の階段より急勾配な
蹴上に彼女は苦戦していて
いつも颯爽と歩く姿を見てる
自分としては、すごく
違和感を覚えた。

「だあっかしま…っ!」
「音むっ…!!」

彼女を追い越し、ほんの少し先を
歩いていた俺は、柏木と斐川の
慌てた声に後方を振り替える。


「えっ?」


何か黒い塊がクタリと
しなだれかかってきて
習慣で思わず受け止めた。


「なっ?…えっ?!」


腕の中の

柔らかく温かい物体が
何か気づいて赤面した。


「ごっ…ごめーんっ
私、慢性の捻挫で…(笑)」

捻ると・・・抵抗する間なく
音村係長は、もれなく
そのまま転ぶらしい。

腕の中で、照れた表情のまま
俺を見上げ語るその人に
俺は、絶賛勘違い中で。





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