sound village

卑屈 ** side斐川



『だからっ3枠だっ
つってんだろ!』


…音村係長…この人は


『ダメだっ3っつったら
3なんだよっ』


競馬でも始めたんだろうか?


デスクを赤ペンで
バシバシ叩きながら
神島並みの語気の強さで
電話している。

…こう毎日だと…さすがの俺も、
英語が聞き取れる様に
なってきた。


音村係長の電話をBGMに
頼まれた法務チェックを
していたら

「斐川、悪い。これ至急で
翻訳内容確認して。」

佐藤係長が、文書の束を
積んでいく。

「あっ…はい。」

…また、だ。

最近、音村係長の案件がらみか
英文書のメールやら
国際法の某やら、壮絶な勢いで
まわってくる。

外国からの電話も
頻繁にかかってくる様になった。

当然、俺だけではなく
柏木も神島も同様だ。

ただ…奴等は、俺より
英会話力に長けている。


今も、なんとかやり取りを経て
受話器を下ろしたのだが
疲労でグッタリしてしまう。



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