sound village


約束の日、柏木と俺が
斐川に呼び出された場所は

「…ここって…」

「ライヴハウスだよなぁ…?」

名前くらいは聞いた事あるけど
知人からチケットでも譲り
受けたのか?

首を傾げつつも、とりあえず、
あんなデカイ奴は、そういないし
直ぐ見つかるだろうと、
斐川を探せば…

「柏木、いたぞ。」

見つけたのは、隣接する
ショッピングモールの壁面の物陰。

「…何であんな隅におるねん。
どんだけ、人ゴミ嫌いやねん(笑)」

うつむき立つ斐川を眺め
柏木がクックッと喉を鳴らす。


「しかし…この辺りも、
高校生ん時はよく来たけど…
浮いてるなぁ…俺ら…(笑)」

「おう…(苦笑)あそこにいる
外国人観光客の集団程度に
明らかに馴染めてないな。」

この辺の店には、よくバッシュを
買いに来ていた。
人より努力が必要だった俺は
靴の消耗も激しく、買いかえる
頻度も他人と比べて高かったと
思う。

加えて、大学に進むまで、
バイトなんてする暇もなく
バスケ三昧だったのだから
親には、金銭的負担をかけて
いただろう。


全くもって感謝だな。




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