sound village


「やっぱないか・・・
何処になおしたんだろう・・・」

探している資料が見つからず
思わず眉間にシワを寄せて
書庫を睨み付けてしまう。


「ああ、いた。音村?」

不意に背後から呼び掛けられ
慌てて声がした方向を振り返る。


「・・・おまえ(笑)この顔面、
確実に不適切な映像ぢゃね?」

同期の佐藤が、笑いながら
シワを隠すべく、私の額に
付箋を貼りつける。


「なにすんだよっ
ってか、テルテルちょうど
よかった。」

「誰がテルテルだよっ」

佐藤氏が一番嫌う呼称で
仕返しをしてやる。

すっかりコヤツの存在を
忘れていたけど、
コイツなら探し物の在処を
知っているかもしれない。

「ねぇ、2年前に2人で
組んだ案件覚えてる?」


周りに聞かれたくないため
自ずと情報を隠してしまう。


「音村レンよ……
お前のメモリのキャパぢゃあ
所詮限界等知れているが…
俺達で成立させた案件なんて
一杯あるだろう。どれだよ?」


都合良くか…どうだかーー
社名が出ないのは
私の記憶力の悪さのせいだと
思っている様だ。

乗っかってやろう。


 
< 41 / 625 >

この作品をシェア

pagetop