sound village

メカラウロコ **side 斐川





「よし、いいでしょう。
今日で最後にしましょう。」


そう言って、ニッコリ笑うのは
某ビジュアル系の嫁

「…何で俺まで…英語漬け
なんだよぉ。だいたい、
真月…厳しすぎ…。」

とある経緯により、
英語を教わる事になって
今日にいたる。

啓太に至っては、完全に
トバッチリとしか言えず
多少なり、申し訳ない。


「啓太ぁ。やるぞぉ。
さっさと来いよ。」

防音室の扉が開いて
テーブルに突っ伏している
啓太をビジュアル系が呼ぶ。


俺が、真月さんから
英会話をご教示いただく事に
なったのは、啓太のお陰?
…に、過ぎない。


研修の話が決まってから
土日に数時間、ネットカフェに
引きこもったり、洋画を
レンタルしたりして、
耳慣らしをしていたのだが…

一人で耳慣らしをした所で
元来、少しばかり苦手とする
他人とのコミュニケーションの
為の“ツール”である英語だ。

こちらが話す為の訓練が必要だと
気付いた。



そんな当たり前の事実に気づき
通勤途中のターミナル駅前にある
英会話学校のパンフを片手に
今から入校した所で、あまりに
日数が少ないし、どこまで話せたい
等の、自分自身の要望も不明瞭で
困りきっていた。















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