sound village




「柏木くん。お疲れっす。」


下心満載の作戦タイムに
突然かけられた声。

「あぁ…っと…お疲れ様です。」


さっきまで、レンちゃんと
猪木ヅラで割り箸で
遊んでいたチビッコが
笑い疲れた様子で
俺と先輩の向かいに座る。


「よう、啓太。グラス貸しな。」

「アザっす!」

すかさず傾けられたグラスに
コポコポ、ビールを注ぎながら
“お前ねぇ(笑)俺はいいけど。
それ、また、音村に怒られるよ?”
“げっ…ナイショの方向で…”
2人は、世間話を繰り広げる。


…つーか…


最初の部長の挨拶の後から
緩めの空気で、正直、壮行会って
雰囲気じゃない。
…入社、半年に毛の生えた程度の
新人の出向なんて、こんなモンか。


実際、俺らは、今の所
会社に対して、何の貢献も
してない訳やねんし。


それどころか、たまたま
巡り合った上司に渡米の機会を
与えてもらった。


…貰いっ放しや。


「啓太、今日は二次会あるの?」

「いや、みんな、明後日
早朝の便だから、今日は
この会を以ってお開きです。」

「了解。ゴメン、俺
ちょい便所行ってくる。」


“ラジャ!流されないように
お願いします(笑)”
“流されるものかっ(笑)”
やばっ、飲み過ぎたかな。
周りの会話がボヤけてきた。


「…ねぇ、柏木くん。」

「えっ?なに?」


「柏木くんも、レンちゃんに
告白したりしたの…?」


……は?


「自分の気持ちだけぶつけて
…行っちゃうの?」



…待て。



「せめて、コクるなら…
帰ってからに…」

「待て。チビッコ。」


告白て何や?

誰か…俺らのうちの誰かが
出し抜いたって事か?


「チビ…って、ヒドイ(泣)
皆にかかっちゃ、誰だって
チビッコぢゃん。」


…いや、レンちゃんと、
あんまり身長変わらん時点で
アンタは、小さ…って、
そんな事は、どうでもいい。


「誰が、コクった?」

「うえぃっ!?」

…どんな狼狽え方やねん(笑)



「いや、俺は、…カマかけた
だけで…」


…ウソつけ。お前、そんなん
最も苦手やろうが。
好い人の塊みたいな奴やのに。
コイツと一番交流深いっちゃあ…


「さっき、自分、
『柏木くんも』って
ゆうたやろ?


…斐川やろ。ソイツ。」



…アイツには、
ちょいちょい出しぬかれる。














































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