sound village

どうしたって未練 **side斐川




ホテルへ向かう道中
神島と音村係長の異動に
ついて互いに情報を
探り合う。

…一見、他人からは
雑談に見えるだろうが…
なんの事はない、
スパイ活動だ。


相手が自分より
有力なネタを
握っていないか?
それを利用できるか?
はたまた奪取するか?
…同盟で手を打つか…


俺は、音村係長に
選ばれなかったけれども
されとて、彼奴らにだけは、
彼女を渡したくない。

それならば、佐藤係長に
盗られる方が諦めもつく。


…選ぶのは、音村係長
なのだけど…


「斐川、ボール、ホテルに
置いてない?」


不意に問うてきた神島に
慌てて思考をトリップ先から
現実に引き戻す。

「あるよ。」

…やりたくなったのだな。

「やるか?」

そう尋ねながらも
何をしに、アメリカへ行くのか
考えて、酒の入った状態で
ゲームはマズイと思い直す。

…既に、バスケをする為に
渡米しようとしている現状が
おかしかったな。

一応もクソも仕事なんだから。

















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