sound village

マイナスイオン**side斐川

  


「神島…お前、どうすれば
そんなに簡単に他人から
絡まれるんだ。」

係長二人に続きながら
隣を歩く神島に対し
溜息をこぼしてしまう。

「そんなこと俺が聞きたい。」

…同じく溜息をこぼしながら
神島がぼやく。

一見温和そうにみえるが
俺たち同期の中では、本来
コイツが一番キレやすいし
血の気が多いというのに。

いつかみたいに、先輩から
絡まれるというのなら解せる。

…しかし、あんなクソ生意気な
小娘に難癖をつけられるだなんて。

「きっと、アレじゃないか?」

「…は?」

突然、何かを思い出したかの様に
人差し指を立てた神島を見遣る。

「前にあのオンナがお前に
絡んだ時、お前、アイツの
顔面に書類を押し付けた
じゃないか。“このケダモノが。
不愉快極まりない”って。
あの仕返しじゃね?」

眼鏡のフレームを直す
下手くそな俺のモノマネ付きで
再現しなくていい。

…ん?そもそも…
…そんな事あっただろうか?

…あった様な気もする…

…まあ…

「毎日が貴重で、そんな
つまらない事を覚えていない。」






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