sound village

踏み出す時**side斐川

 


日本に戻ってからも、
何だか癖が抜けなくて
毎日身体を動かしてから
出勤をしている。

随分、車窓から見える
街路樹が青くなってきていて
そろそろ、セーブしないと
昼間眠くなってしまいそうだ。

ムコウに居るときのように
会社でゲームをすることなんて
やはり、環境が許さないけれど。

何と無く、学生の時分から
続けていた基礎体力維持を
止められずにいる。

…とはいえ、

入社して、一度は止めて
しまっていた習慣を
取り戻す機会を与えてくれた
係長達に感謝をしている。

今は、ストバスコートに
入る日もあれば、無い日もあり
楽しみながら、気分転換を
図っている。


もちろん、休みの日は、
昔の仲間が集まって
ストバスすることもある。

先日など、週末のゲームの予定に
浮かれ過ぎた俺たちを見ていて、
まさかの部長参戦という
サプライズを巻き起こした。

“俺も入れてもらっていいか?”

突如現れた、部長と
苦笑気味の音村係長に
俺と神島も相当驚いたものだ。
どうりで、何処でやるのか
詳細を問われたはずだ。

…まあ…1分持たずダウン
されてしまったけれど(苦笑)

こんな事態等予測済みの
音村係長が、サクッと
部長を回収していったことも
記憶に新しい。

部長一家と音村係長は
家族のように仲がいい。
もちろん、佐藤係長ともだが。

“ほら見たことか…でしょ?
部長。この子達と同じように
動けるわけないんですよ?”

“でも、1本決めたぞ”

“皆が気を遣って、ボールを
回してくれたんでしょ。
ほら、退場。奥様が車回して
くれましたよ。行きましょう。
荷物もちますから。”

あのコントのような
部長と音村係長の遣り取りは
今、思い出しても愉しい。
仲間達から、職場環境を
随分羨ましがられたものだ。

電車の中だというのに
クスッと笑ってしまう。



  





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