sound village

想い溢れる時 **side柏木

 


俺のジャケットの袖を
摘んだまま、俺の前を歩く
チビッコが口を開く。

「もうっ!!
俺、怒ってんだよ!?」

…チビッコよ。頬を膨らますな。
マジ女子か!

レンちゃん達が進めた
事業統合が稼動を始めた。

管理系システムを連動させて
うちの支社の総務等事務業務を
統合先企業へ委託する。

俺を含めた数人が、その
オペレーション研修の為
こっちへ来た訳だが……

「柏木くんの会社が、
個人情報データと名刺の
発注書を直接リンクさせている
なんて、思わなかったよ。

個人情報取扱のヤバさなんて
アメリカの方が断然エグイでしょ?
ファイル先くらい、ちゃんと
聞いて欲しいよ。」

管理部には、想定していた通り
英語が堪能な人間がほぼ居らず、
俺一人では、通訳も行き届かず、
ちょいちょい意思疎通の不通に
因る、問題が起こっていた。

これまでは、そんな重たくない
失敗が殆どで、国民性…というか、
感覚の違いによって、生じる
何かやったけど―――

今回は、さすがにアウトやな…

気づいたのが、チビッコで、
被害者がレンちゃんやったから
事なきに収めてくれたけど。







 


 

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