sound village
物憂げなヒト**side斐川/
 

久しぶりにゲームも
ストバスも予定皆無となった
日曜日――――

…とはいえ、来週、
自国に帰る研修組と仲間内、
総勢50名近くで、体育館を
借り切ってバスケ三昧の予定で、
それに向けて余念のない
調整をしている所なのだが。

結局、皆そうなんだ。

このストバスコートに
来てみれば、暗黙の了解で
神島も研修中の米国人も、
高校時代のバスケ仲間達も、
そこそこの人数が、アップしたり
基礎練習したり、来週に向けて
集まっている状況だった。

もう、明らかにバスケは
趣味の範疇の人間ばかりなのに、
更に上手くなろうとしていて
奮い立つ。…のだ。

いつもなら…

「斐川。集中がきれたんだったら、
もう切り上げてしまえよな。」

…目敏い…

ベンチで水分補給する俺に
スッと視線を送り神島が言う。


気もソゾロと迄は、
行かないとはいえ、正直、
ちょっと心がココにない。
これで怪我をしては、
来週楽しめない。

「神島。」

「分かってる。
また月曜日な。」

“今日はこれで切り上げる”
そんな台詞を聞こうともせず、
スッと片手を挙げて、
奴は言った。




 

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