sound village

衝撃映像**side神島



随分高くまで昇った太陽が
繁った広葉樹の葉の隙間から
差し込んでくる。

まぶしいな…

まだ木陰のせいか、幾分
アスファルトが敷き詰まった
街中より涼しい。

昼前に練習を終了して
駅に向かう数人と
各々水分を補給しながら
ノロノロ歩く。

「神島さん、今日、真琴、
様子おかしくなかったすか?
何かあったんすか?」

俺の斜め前から、
斐川の元チームメートが、
こちらに問いかける。

「別に…あんな感じぢゃね?
仕事もちゃんとしてたし。」

…半分ウソだ。

あのデリケートちゃんは、
ポーカーフェイスが得意だが
さすがに、俺も見抜ける。
今週、何かしらのダメージを
食らったであろう事など、
想像に容易い。

「俺もオカシイと思ったけどな。」

俺の幼馴染まで、同意して
2人して憶測を始めた。

そんな2人を捨て置き
ぐるっと周囲の緑を見渡す。
この遊歩道は、川を挟み
対岸が、有名老舗ホテルの
庭園というロケーションだ。
手入れされた生垣の隙間から
チラホラ中の様子が見える。

ガーデンウェディングを
してる時なんかもあるけど
今日は、普通に解放してるっぽくて。

こっちは、ジャージ集団だと
いうのに、そこを散策している
人達は、装いもフォーマルで
敷居が高そう…だ…?

って…?

えっ?

…あれ、柏木?

そういや、今日は予定があるとか
言ってたっけ。誰かの結婚式かな。

たいして興味も向けず
視線を逸らそうとした一瞬、
柏木の少し後ろを、手を引かれ歩く、
ワンピース姿の女性が視界に入り、
俺は口内に含んだ炭酸水を
思い切り、前方へ噴き出した。


















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