sound village

貴重な瞬間**side神島

 


…俺って、

間が悪いんだろうか…


…柏木の…恐らく3回目?の
プロポーズを、
こんな声の届く距離で
聞く事になるなんて…


ドキドキするんですけど!!


…ヤバイ…

オッサン達の
疲労が重なったのか
一瞬の無音となった空間に、
柏木のプロポーズが響いた。

俺がうろたえるのも
おかしな話だが、
アワアワしたい気持ちを
グッと抑えて、タオルで口元を
覆い隠し、誰かが動き出すのを
待っているんだけど…

誰も動くどころか
呼吸すら止めているっぽくて
沈黙が続いている。

俺達の視線は、必然的に
柏木の視線の先の…
いつもより日本人離れした
音村係長に注がれている。

…つうか、係長。

俺達、過去、その姿を
見てるから、係長だと
気づいただけで、
初めてだったら
わかんないっすよ!?
微妙に派手な双子がいたから
気づいたんっすよ!!

…その係長は、さっきから
フリーズしたかのように動かない。


まさか、こんなところで
プロポーズされるとは
思わなかったんだろうな(苦笑)


短いはずの時間が、この妙な
沈黙のせいで、恐ろしく
長い時間に感じる。

…俺の心臓も
止まりそうなんだけど。

誰かクシャミでもいいから
空気変えてくれよ…
いたたまれねぇよ。


 








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