好きになった人は…双子の兄でした。【完結】

初めての嘘

『…育…本気で言ってるの？こっ…こんな給料で私と子供を養えるはずがないじゃない』


私はわざと…
育にきつい言い方をする…




「…由奈…」




『わ…私は…お金の苦労なんかしたくないし…育とおままごとごっこするのは、まっぴらごめんだわ』




「…っ…じゃあ…子供は…どうするんだ…」



育が戸惑いながら聞いて来た…



『…私…一人で育てるし…そのうち…素敵な人と結婚する』




私は今どんな顔してる―――？
きっと魔女みたいに、目もつり上がって…



「…お前…何言ってんの…？」




『…本気よ…ずっと思ってた事言っただけ』


酷い表情しているんだろうな…
私…




「…ずっと思ってた？…なんで…」



『…なんでって…「あー解った俺がこんな仕事するのが嫌なんだ」



『…』


育は何を思い違えたのか…



そかそか…ごめんごめんと謝りながら、
育は再び求人雑誌をパラパラとめくる…



「配送…トラックもいいなぁ…」



ぶつぶつ言いながら求人雑誌を見ていた育から私は雑誌を取り上げて捨てた…