封印戦慄映像
 映像では直子の一部が転がっているはずだった。恐る恐る視線を下に落とし、絨毯の上を確かめる。


「ひぃ!!!! ほ、本当にあったわ……」


ほつれた糸の上に、千切れた親指が落ちている。どこを見ても赤の色素に、だんだん発狂をしたくなった。


――頭がおかしくなりそう……。


「ねぇ、茂……やっぱり止めた方が――」


「なんだよ。こんな物が怖いのか? 久実ちゃんもだらしないなぁ。こんなものほれ! この通りさ」


茂は直子の一部を、誇らしげに蹴飛ばした。親指は遠くの壁にぶつかり、恨めしそうに転がった。
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