封印戦慄映像
 タイヤは砂を激しく蹴り、屋敷の前に車を停めた。するとその音に気付いたのか、玄関の戸が開き和服の女性が出てきた。


髪をアップにし、雪肌の首筋が見え、そこに数本垂れる黒髪が何ともいえない色香を誘い、着物なのに、ふくよかな胸元がセクシーなラインを作り上げていた。


「あの人が魅羅さんかしら?」


私はその色気に圧倒され、やっと口を開いた。


「うひょーあの人となら幽霊は怖くないかも!」


さっきまで震えていた、茂が鼻息を荒くした。


「車から下りよう。彼女と話してくる」


横にいた冬馬がスライド式のドアを開け、駆け寄るように着物の女性に近づいた。


――もう冬馬ったら……浮気だけは許さないわよ。
< 8 / 146 >

この作品をシェア

pagetop