ダイヤの恋人 〜June bride〜
ニッコリと微笑んだ神父が、理人さんとあたしを交互に見た。


「では、あなた方は自分自身をお互いに捧げますか?」


隣を見上げると、優しい瞳と視線がぶつかる。


ごく自然と微笑み合ったあたし達は、それが合図だったかのように口を開いた。


「「はい、捧げます」」


ピタリと重なった二つ声が響いた直後、胸の奥から込み上げて来た甘く柔らかな熱。


それはとても幸せだという証だけど、それ故にとうとう涙を堪える事が出来なくなってしまった。


ポロリと零れた雫が、ゆっくりと頬を伝う。


「それでは、指輪の交換を」


理人さんと向かい合うと、彼は神父が持つリングピローからマリッジリングを取った。


そして、あたしの左手の薬指に、それが収められた。


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