月と太陽
「自分でもよくわかんないんだけど、しずくをほっとけないんだ。転校して来たあの日、しずくを見た瞬間から」

ストレートにぶつけてくるタケルの言葉にわたしは、顔が火照っていくのがわかった。

なんだろう、この感情。

何とも言えない、ソワソワするような、くすぐったいようなこの感じ。

「そんなこと言われたの初めて」

何か言い返さなくてはと思い、その言葉が出てきた。

タケルはわたしの表情を伺うと「馬鹿にはしてないからな」と言った。

わたしはタケルの言葉に笑うと「わかってる」と言った。

すると、タケルが急に立ち止まった。

わたしもつられて立ち止まる。

「しずくが笑った」

タケルはそう呟くと、嬉しそうに笑った。

そう言われて気が付いた。

わたし、今までタケルの前で笑ったことがなかったんだ。

いや、タケルの前だけではない。

笑うこと自体を忘れていたんだ。
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