イジワル王子と屋根の下



「ありがとうございましたー」



けど



「…ん」

「…?」



会計を終え荷物を持つ私に、スッと差し出されたその手。



「?何?」

「荷物」

「うん。ちゃんと持ってるよ?」

「違ぇよ」

「???」

「…鈍感」



その手は私の手から荷物を奪うようにして持ち、帰り道を歩き出す。



「……」





『荷物』って…持ってくれるって、そういう意味?



(…素直じゃないなぁ)



意地悪だけど、口も悪いけど

でも、優しいこともわかっているから



ほら、また

胸の音が大きくなっていく。



そんな、土曜日の朝。







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