イジワル王子と屋根の下







恐らく、からかわれたのだろう。

あの上司の野郎に



(…爽やかな顔しやがってタチわりぃ)



ムカつく、腹立つ。

そんな気持ちが込み上げるけれど





「そんな言い方すると夕飯のおかずピーマンだらけにしちゃうから!ピーマンの肉詰めにチンジャオロースにピーマンサラダにしちゃうから!」

「……」





隣を歩くその姿一つで、まぁいいかとも思えてくる。



(…女は当分いいと思ってたんだけどな)



嫌な記憶も僅かな孤独も、その笑顔が拭うから

きっとこの気持ちは、そういうこと。





「…んなメニューにしたら全部お前一人に食わせる」

「ええ!?」





好きだと、いうこと。





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