イジワル王子と屋根の下
「…梨沙?」
「?…!」
その時名前を呼んだのは、耳の奥に今だ残る声。
「……」
目を向ければそこにいたのは、顎に髭を生やした茶色い短髪の男…あの日私に別れを告げた元彼氏。その隣にはギャルっぽい派手な女の子を連れている。
『マジで来たんだ?』
その姿ひとつで、あの日の苦しさがまた込み上げそうになる。
「…あ…」
「うわ、マジで梨沙だ。まだこっちに居たのかよ。てっきり帰ったかと思ってた」
「…う、うん。せっかく就いた仕事だから、少し続けてみようかなって…」
「ふーん…」