private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~

寿楽view

 あ~ダリィ。

 毎日メンドクセー。

 何で二度もコーコーセーやってんだよ俺は。



 数ヶ月前、LA。



 大学の卒業証書を家に持って帰ったら珍しくジジイが親父と飲んでいた。

 彩並グループの会長と名乗りながら、その実、日本で隠居してるはずのジジイが

 マサカ親父とワイン飲むために渡米してきたとは思えない。


 「久しぶりだなぁ。元気そうで何よりだ」


 ジジイの頭はつるりと禿げ上がり、もう変わりようもないが、メタボな腹は変わった方がいい。


 「おじい様もお変わりありませんね」


 俺にしちゃぁ極上の褒め文句。

 ジジイの相手なんかする気ねぇ俺は、卒業証書見せて早々に親父の部屋を出ようとした。


 「待て」


 親父が俺を呼び止める。


 「お父さんはお前に会うために遥々いらしたんだぞ」


 おいおい、そりゃ嘘だろ。

 今年は前期の決算会議もサボッて日本にいたくせに。
 
 猜疑心たっぷりで振り返ると、ジジイに配属命令を出された。


 「お前にはこれから日本で化粧品の企画をして貰う」

 「けっ化粧品……」


 嫌な予感がした。
 
 客観的にも主観的にも、俺に化粧品を開発するような能力があるようには思えないからだ。


 「どうして化粧品なんですか」

 「お前は女性に対する優しさが足りん!」


 と返ってきたが余計なお世話だ。


 「それに、多くの女性の相手をしてきたようだからな。
 社のために、その経験を生かしてもらうぞ」


 卒業後の進路は任せるように言われていたが、

 俺みてぇなのは平社員のうち、自社外で働くのが普通じゃねぇのか?


 「俺が平社員として入ったら、他の方が働きにくいですよ」

 「数ヶ月の辛抱だ」


 即行転勤か?


 「どういうことですか?」


 そう訊いたら、多分世界的に見ても稀なことを言われた。
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