ナイチンゲール誓詞
ナイチンゲール誓詞
我はここに集いたる人々の前に厳かに神に誓わん ―――


我が生涯を清く過ごし、・・・あ、もう無理だわ。


清さを無くした、なり損ないのナイチンゲールは、ティーバッグを入れたままのマグカップの底に残った冷めた紅茶を飲み干した。

窓の外には月明かりが、ぼんやりと空を照らしているのが見える。

家に残した子ども達はもう寝ただろうか。
ちゃんと宿題を済ませただろうか。


夜勤のある日は、晩ごはんを作りおきして家を出てくる。
家に帰ってくる子ども達に、お帰りなさいを言えない少しの罪悪感を、オムライスの上のケチャップで塗り潰す。


朝ごはんは、夫が支度してくれる。

家族の協力があるからできる仕事。
家族が健康だからできる仕事。


窓の外のぼんやりとした明かりに、家族を思って心の中で詫びる。


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