Chorus to you
第1章
「あーんどうさんっ♪何してんスか?」

1時間目の授業が終わると同時に、複数名の男子が私に話しかけてきた。

「…別に何も。」

私はそう言って教科書やノートを立ててトントンと揃えた。

プッ、何もだってよ、と向こうが吹き出した。はぁ、またか。

「見てましたよ、授業中枝毛探してたの!楽しいんスか?アレ?」

1人が言うと、他の何人かもドッと笑った。

だって、あんた達が授業中ずーっと見てくるから、気を紛らわそうとして髪を見てただけで…。

でも言い訳をするのは面倒だから、

「何したって私の勝手でしょ?ほっといてよ。」

と捨てゼリフを吐いて教室の後ろにあるロッカーに教科書を置きにいった。

ロッカーの前にたまっていた女子のグループが私を見てクスクス笑う。

「穂菜実ちゃん、かわいそー。」

私、安藤穂菜実は4月にした中3のクラス替えをキッカケに軽いいじめを半年程受け続けている。

新しいクラスには仲の良い子が1人もおらず、他の女子達は自然にグループが出来上がってしまい、奇数で1人余った私はクラスの輪の中に入れなくなってしまった。


それでも最初の方は頑張って声をかけたりしていたが、結局はどこも陰口を言ってくるだけだった。

1人でいるのを良い事に、一部の男子達がからかいにきて、ますますクラスで浮く存在になってしまったのだ。

先生や親に相談しても、きっと思い過ごしだとか言われて分かってくれない。

もし分かってくれたとしても、行動を起こされてチクったと周りに言われるに違いない。

私は、どうにもできないループにハマってしまったのだ……。



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