アフターレイン
 一呼吸置いてフリーズした後、弾けるように叫んだ皐月がずいっとタマに詰め寄る。



「どういうこと?」

「俺じゃなくて久志に訊いて。久志に!」



 思いの外恐ろしい剣幕で凄まれて慌てたタマが、矛先を俺に向けた。

 その言葉に皐月はくるりと身を翻し、今度は俺と向かい合わせになる。



「大丈夫、ちゃんと治るやつだから」

「風邪?」

「……風邪……ではないけど、死ぬほどの病気じゃないらしいから。安心して」

「そっか……」



 まあ元々捨て猫だったんだし何か持っててもおかしくないもんね。と、納得したように頷く。

 もしかしたらそれが原因で捨てられたのかも?と憶測した皐月だが、それは俺が否定した。



「発症したのは、昨日だから。それに、拾った後すぐに病院に連れてったけど、その時はまだ健康だって言われてた」

「……そうなんだ」



 眉尻を下げ、見るからにテンションが落ち込んでいく皐月。

 俺以上に可愛がってたもんな、マールのこと。
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