黄色い線の内側までお下がりください

 行き先は伊豆だ。

 海水もエメラルドグリーンで海底まで見え、関東とは比べものにならないくらいに綺麗だとパンフレットで読んだ。

 新しい水着も買ったし、体重だって4キロも落とした。
 
 夏は短い、それに若い時なんて一瞬で終わるという。

 多少無理をしてでも遊ぶべきだ。

 いつまでもその若さが続くと思うな! 

 と、バイト先の店長が言っていたことを思い出した。




「桜、おはよう。今日で試験も終わるし、あとは待ちに待った夏休みだよ!」

「そうだねー! すっごい楽しみなんだけど」
 
 S321教室で楽しそうに話をしているのは、桜とその友人の宮前 タイラだ。

 伊豆の予定を話し合う彼女たちの心は既に伊豆に飛んでいる。

 桜の隣には彼氏の高津 用賀(たかつ ようが)が座っていて、

 楽しそうに話に加わっていた。


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