受胎告知Fake of fate【アンビエンス エフェクト第二のマリア】
第二のマリア誕生
 博士は成美とその作品を愛していた。


でも成美の芸術作品は、時にはマスコミの格好の標的となる。


エスパー気取り……
モンスター……
人類を破滅に導く宇宙人……


面白可笑しく茶化す文面に博士は震えた。


そして、躍起になってそれらを否定して回った。


博士は全力でそれらの記事を阻止しようとした。
成美をその手で守ろうとしていたのだ。


でも……
それは成美を困惑させた。


博士の立場が悪くなる。
成美はそう感じていたのだった。


感覚的には解っていた。
愛すること……
大好きな人を思いやること。


そう……
成美も激しく博士を愛していたのだ。


でも……
自分のせいで傷付く博士を見ていられなかった。


相互扶助したくて、七転八倒して苦んだ。


その道は前途多難。
未来は前途遼袁だと思われた。
だから成美は自ら身を退いたのだった。




 そうとも知らず……
成美と結婚するために博士は科学の勉強に没頭した。


成美を守るために、もっと力を付けたいと博士は思っていたからだった。


その結果……
天才科学者ともてはやされるまでになった。




でも気付いた時には成美には既に旦那と子供がいた。


博士には成美が解らなかった。

自分を愛していながら、他の男の子供を宿した成美の真意が。


幸せそうに映る成美を見るにつけ、疑いの目を向けてしまう博士。


そして、心の中のある思いに気付く。


成美を抱きたかった。

子供を授かりたかった。


それが出来ない今だからこそ……


博士はある考えを実行しようとしていたのだった。

< 39 / 147 >

この作品をシェア

pagetop