ホントのお前が好きなんだッ!
入学

私と私の幼なじみ【馨side】



「香織〜!早く起きなさい!誠君が来ちゃうわよ!」

お母さんがリビングから顔を出し、大声で私を呼ぶ。

…うるさいなぁ〜…。

お母さんの声は大きすぎるだ。

隣に住んでいる内田さん家のお母さんはこう言っていた。

『日向さんの声で子供たちは起きてくれるから、私が起こす必要なくなったのよ。ありがたいわ〜。』

…感謝されたのはいいけど、迷惑でしょ…。

隣の家まで聞こえるって、どれだけ大きい声出してるのよ。

そんな声で起こされれば、嫌でも目が覚めてしまう。

仕方がないから、ベッドから出て、今日から3年間着ることになる制服を着ることにした。

「とうとう高校生か…。」

私、日向馨(ひなたかおり)。

今日から高校生!

着なれない制服を着て鏡の前に立つ。

「まぁ…やっぱ制服は可愛いな」

紺のブレザーに、チェックのスカート。シンプルではあるけれど、私は可愛いと思う。

髪の毛をシュシュでくくったら、もっとよくなるだろう。

でも…私は…___

「私は…今日から変わるんだ…。」



___地味子になるんだ…。


中学ではイケてる部類に入っていた私だが、今日からの高校生活では…地味子を演じるんだ。

学校では出来るだけ人と会話しないで、オシャレもしないで、髪も整えないで、制服も着崩さない。


…そう決めた。

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