ほんとの笑顔が見たかったんだ
素直
「なんだよ急に…」

オトンに無理矢理連れてこられた俺。

てゆーか、売店と方向逆なんだけど…。

「はい、ここ座れー」

売店とは全く関係ない、じゅな達とは離れた所にあるベンチにオトンは座って、俺も座るように自分の隣の空いているスペースを叩いた。

「なんだよ…」

そう言いつつ、俺は渋々座った。

するとオトンはかなりストレートに

「空、まだ樹菜ちゃんと付き合ってなかったの?」

そんな質問をしてきやがった。

「は?!急に何言ってんだよ!暑さで頭おかしくなったんじゃねぇーの?」

明らかに動揺してしまう。

マジでいきなりなんなんだよ!

「や、マジで聞いてんだけど。俺さ、あっちで仕事してる間、2人の間に何か進展あったかなーって密かに気にしてたんだけどね。だって空、随分昔から樹菜ちゃんの事大好きだったじゃん?」

「いやいや待てって!俺がいつオトンにそんな事言った?!」

「言ってないけど見てたら分かるから!俺だけじゃなくて、ママも空の気持ちお見通しだからな?」

やばい…龍星にも同じ事言われたんだけど…。

“見てたら分かる”って言葉。

てかオカンまでお見通しって…やべぇ…。

俺、マジで分かりやすい奴なんかも知れない。

本気で恥ずかしい…。

「あぁーもう…ドストレートに言ってくんなや…」

うつ向きながら言うと、オトンは

「で、どうなんだ?」

と、真剣に聞いた。

オトンにこんな事言うの、すげー恥ずかしいけど、もう嘘はつけなくて、

「ああ。そうだよ。俺、じゅなの事好きなんだ。でも、まだ付き合ってねぇ…てか、付き合うのは無理っぽいし…」

絶対に無理なのに、少し強がって

“無理っぽい”とか言ってしまう。

ぽいじゃねぇーし…無理なんだよ…。
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