ほんとの笑顔が見たかったんだ
線香花火
チリン…と、鳴る風鈴の音に癒されていると、いつの間にか机に顔を突っ伏して眠っていた。

自分の部屋の窓の近くに飾ってあるそれは、私のパパからもらったもの。

目が覚めると、いつものように美しく揺れていた。

「あーあ…宿題の途中で眠っちゃった」

時計を見ると、夜の8時。

ご飯、まだ食べてないや。

お腹減った…。

目をこすりながら、台所へ向かった。



「樹菜、頑張ってたのね!」

お皿を洗いながら、ママは優しく声をかけてくれた。

「宿題してたんだけど…途中で寝てた…」

「そんな時もあるよ。さ、ごはん食べなさい」

娘の私が言うのも照れくさいけど、私のママは本当に優しい。

だから、私も良い娘でいなくっちゃって思ってるんだよね。

ママの負担を減らすためにバイトもしたいけど、校則上ダメだし、ママもダメって言うし…

だから、私は勉強をしっかりやらないと。
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