猫又四郎の奇怪幻想見聞録



「おや、眠ってしまったようですね」



カウンターに肘をのせ、そこに顔をうずめて寝息をたてる女の子。

どうやら僕を知っているようだったけど、はて、誰だったか。

とりあえずと、ブランケットを肩にかけてあげ、飲みかけのコーヒーを流しに捨てた。


「さてと、この子の制服を見る限り、僕と同じ高校のようですし……。

調べてみますか」



本来ワイン棚となるべき場所に納められた大量の本。その本棚に指を這わせ、背表紙の字をおっていく。


「彼月(ひつく)学園、彼月学園、ひつく、ひ、ひ、ひ………。

あ、あった」



【彼月学園生徒名簿】と書かれた背表紙。さすがに全校生徒とあって分厚い。

本棚から取り出してパラパラとページをめくっていく。


【彼月学園】は僕の通っている学園のこと。

僕、【猫又 四郎】は、彼月学園高等部一年A組です。

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