日々是淡々と‥
もともと由香里は育った環境や
学歴というバックグラウンドや
見かけで人を判断したりは
しない人間だ。

 由香里の家は傍目に見れば
申し分のない家柄だが、
それは由香里には負担で
しかなかった。

両親も兄も姉も、いつも
燦燦と日が当たる
晴れやかな表舞台を
堂々と歩んでいる。

そして、それについては
何の疑いももっていない。

だからといって、彼らが
誰かの悪口を言うとか、
バカにすることは
決してない。

常に上品だし謙虚で
優しい人間である。

そんな家族の事を由香里は
もちろん、尊敬し誇りに
思ってはいるが、
正直苦手だった。

その一点の曇りもない晴れ
晴れとした善良さに我慢が
ならなくなるのだ。
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