最近、風紀がみだれてます (エピソード☆ゼロ)
「お前、あんなの信じてんのかよ。女子か!」
「いいよ。じゃーオレひとりでやるもんね」
キョロキョロとあたりを見回すコータ。
幸いもう周りにはほとんど人はいなかった。
その場でしゃがみこむと、素手で地面を掘り始めた。
けど、土が固いのか、なかなか進まない。
「あーもう、お前、どんくせーよ」
オレは文句を言いながらしゃがみこむ。
「何? 海斗もやるの?」
「ちげーよ。トロトロしてて見つかったら、怒られるかもしんねーじゃん。しょうがないから手伝ってやるよ」
オレはペンケースの中から定規を取り出す。
それを使って掘ると、あっという間に消しゴムぐらい埋められそうな小さな穴ができた。
「無事に合格できて、ここに戻ってこられますように」
穴の中に消しゴムを入れ、コータが手を合わせて拝む。
「ほらっ、もう行くぞ。早く土かけて埋めろよ」
「……海斗は埋めないの?」