意地悪な彼が指輪をくれる理由




占いなんて無意味かもしれない。

今日の占いを見ながらそう思った。

仕事を休んで入院しているからザクザクお金は出て行くのに、副収入もへったくれもありゃしない。

ましてやフォトフレームなんて、病室にあるわけがない。

病人である私には、ラッキーを引き寄せるチャンスすらもらえないのだろうか。

ふん、こんなアテにならない占いメールの受信なんて登録解除してしてやろうか。

私はバルコニーで一人、ため息をついた。

そして携帯を機内モードに設定し、結局メルマガの登録を解除することなく屋内へ戻る。

私の手術は無事に成功した。

まだ食べ物を食べさせてもらえないことと、かなりヒマであることを除けば、入院生活は思っていたよりも快適だ。

ヒマであるが故に、調剤事務管理士の資格の勉強もはかどる。

手術痕も思ったより小さいし、じっとしていれば痛くない。

ただし、くしゃみをしたり笑ったり、力むとビックリするくらい痛むけれど。

不可抗力とはいえ、祐子さんとももこに申し訳ない。

私がいない間、二人は休みなく働くことになるかもしれないのだ。

復活したら、精一杯恩返しをしよう。

時間は無駄にできない。

今は勉強、勉強。

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