意地悪な彼が指輪をくれる理由

やっと泣き止んだ私の顔を見て、瑛士は笑った。

「うわっ! ぶっさいくだなー!」

好きな人からこの仕打ち。

泣きっ面に蜂とはこのことだ。

そんなに笑わなくたって良いじゃない。

私の泣き顔がそんなに面白いの?

私は黙ってじろりと睨みつけるけれど、瑛士はケラケラ笑いながらティッシュで涙を拭ってくれる。

「な? ティッシュ使っただろ? 買っといて良かったな」

確かに使ったけど。

私は無視して鼻をすする。

まぶたが重い。

絶対に腫れている。

なるほど不細工だと言われるはずだ。

鏡を確認しなくたってわかる。

「で、お前、今日はその顔で帰るの? それとも泊まってく?」

「泊まってほしいならそう言えば?」

鼻が詰まって、声まで不細工だ。

「はぁ? 別にどうしても泊まってほしいわけじゃないし」

「なにそれツンデレ?」

好きだと認識してしまうと、この距離が辛い。

触れられるし、触れてくれる。

だけど瑛士は私のことをそういう意味で好きじゃない。

完全に片想いなのだ。

きっと中学時代の瑛士も、同じ辛さを味わっていたのだろう。

だったら、私はこの苦しみに耐えるべきだと思った。




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