もっと傷つけばいい
チョコレート色の重厚そうなドアの前で、あたしとソウは立ち止まった。

ここでようやくソウは、あたしの手を離してくれた。

彼はスーツの胸ポケットから革製の長財布を出した。

そこからカードを出すと、ドアの隣にある小さなセンサーに当てた。

ピピッ

……カードキー、ってヤツ?

ガチャッと、ソウがドアを開けた後、
「はい」

あたしにカードを渡してきた。

「えっ?」

何で?

どうして渡されたのか、理由がわからなかった。
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