夢への道は恋の花道?
しばらく黙ってしまった柏木だったが、

「少し、考えさせてください。
必ず、2~3日中に逢ってお話しますから。」


「わかったわ。私、専門学校通うことになったから、クランにふだん会うことなんてないから。」


「へえ、学生ですか。どちらの学校です?」


「KKエンタープライズ 服飾専門学校っていって、すごく業界と直結してるってお話の・・・」



「今、何ていいましたか?そ、そっちですか。」


「そっちって??」


「KKはキヨトカシワギの略です。
キヨトは私の弟の名前・・・。キョウと双子の片割れで現在は私が理事長になっています。」


「は、はぁああ!?な・・・ウソウソ・・・そんなぁ。
それで、ティラスティンの綿花がどうのこうのって・・・。
そんな世間が狭いなんて・・・!」


「くくっ。はははは。しようのない人ですね。あなたはほんとに・・・。」


「キヨトさんも亡くなってるのね。」


「ええ、まぁ。これも運命のいたずらでしょうね。
あなたがKKに入るとはね・・・。

じゃ、月曜でしたね、面接日は。
そのときに少し、個人的なお話をしましょう。

・・・・・ぷっw」


噴き出して笑顔になっている柏木を見て、ミチルは同じくぷっと笑ってしまうのだった。


「柏木さんが理事長さんなんだったら、ますますがんばらないとねっ!」


「そんなにがんばらなくても、ちゃんと合格しますよ。
じゃ、仕事のスケジュールがつまってるんで、これで。
くれぐれもクインには逢わないように!命令です!」


「命令なんて、初めてですよね。
前は口調は命令でも、○○してくださいだったのに。」



「私はもうあなたの執事じゃない。」


「そ、そうでした・・・。すみません。」


「では、また。」



ミチルは帰り道を歩きながら、後悔していた。


(もしかしたら私・・・とんでもない事情に首を突っ込んでしまったかもしれない。

いや、もうどっぷり突っ込んで、もがいているところなのかも。

だけど、キヨト&キョウが弟さん。

柏木響 ひびきさんは何をしようとしてるのかしら。

執事になったり、会社の代表になったり。

ギリアム王子に電話いつするんだろう?

あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ!逢うと気になって仕方がなくなっちゃうじゃない!


あれ?私・・・柏木さんの連絡先をきいてないわ。
まぁKKで逢えるならもういいかなぁ・・・でも・・・メルアドきいておくくらいならいいかしら。)


ミチルは社長室へと向かった。
たとえ、柏木が仕事中でも秘書が教えてくれると思ったのだが・・・。


社長室は留守で、秘書も不在のようで静まり返っている。

ミチルはあきらめて女性用のトイレに入ろうとしたが、何やら男の声がするので男子トイレの様子をうかがってみた。


(この声って・・・。柏木さん?

もしかして、泣いてるの?)


「うう・・・クソッ。どうしてまだ見つからない!
うわぁぁぁぁ!!!ああああーーー!

はぁはぁはぁはぁ・・・キヨト!、キョウ!頼む、力を貸してくれ。」



ミチルは怖いと思った。
ミチルの知らない柏木の姿が、吠えている。

とても苦しそうな嗚咽、狂ったような声が続く。
両耳を押さえながら、会社の外へ飛び出して、駅まで全力疾走していた。


(柏木さんが押しつぶされそうになってることを、私が支えてあげることなんてできるのだろうか?

でも、何のために逢いに行ったのだろう?

そう。何が何だかであっても・・・どんなに怖くても、あの人のそばにいることこそが目的だったはず。)


「こらっ、目的を見失うな!ミチル。
私があの人を支えたい。支えなきゃ!」
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